セキスイハイムのペットドアは、一度も使われなかった。扉を捨てて暖簾にした

標準で選べるペットドアが、猫にとってはただの爪とぎだった。扉を外し、ダイソーの菜箸とランチョンマットと3Dプリンターで暖簾式に作り替えた記録。失敗は三回。

結論:扉を外して、暖簾にした

セキスイハイムの標準で選べるペットドア。これが一度も使われなかった。

猫が通らない。使い道といえば、扉の面をシャカシャカと引っ掻く、爪とぎの代わりくらいだった。

なので、扉そのものを外した。代わりに菜箸と布で暖簾を作って掛けた。3Dプリンターで作ったのは、菜箸を突っ張り棒にするためのアダプタ2個。

以下、失敗三回込みの記録。

標準のペットドアは、猫にとって爪とぎだった

まず現物。

壁に取り付けられた白枠のペットドア。半透明の扉板の左右に隙間があり、上下に金属製のロックが付いている

改造前の状態。すりガラス状の扉板と、上下のロック。

家を建てるときに、標準で選べるものとして付けた。ちゃんとしたメーカー品だ。それでも使われなかった。

理由は三つある。

そもそも左右が空きすぎている。 写真で見てのとおり、扉板と枠のあいだに隙間がかなりある。密閉するための扉なのに、隙間だらけだった。

扉板が重い。 PPシートのような薄い板に、プラスチック製のロック機構が付いている。この重さのせいで、押しても勢いよく返ってくる。

うるさい。 開くたび閉じるたびに、ガチャガチャと鳴る。

決定打はこれだった。一度、猫が扉に挟まった。 当然ながらブチギレられた。

それ以来、ロックは掛けっぱなしになった。開けない扉として、運用していたことになる。

1歳を超えたので開けてみたが、やはり使えなかった

ビビンバも1歳を超えた。そろそろ自由に出入りしてほしい。

そう思ってロックを外してみたのだが、状況は何も変わっていない。重いものは重いし、うるさいものはうるさい。挟まれた記憶がある相手が、自分から突っ込んでいくわけがない。

ここで、改造することにした。

分解は、ネジを緩めるだけだった

構造が単純なので、分解も単純だった。

ドライバーでペットドア上部のネジを緩めているところ。すぐ横で猫が作業を見ている

上側のネジを緩めているところ。監督が至近距離で監視している。

上側のネジをドライバーで緩めるだけで、扉部分は外れた。枠は壁に残る。

つまり、この枠に収まる何かを作れば、それで済む。

分解は自己責任で。 メーカーの保証対象から外れる可能性がある。この記事は改造を推奨するものではなく、私がやったことの記録でしかない。

プラスチックをやめて、布にした

代わりの扉を何にするか。

最初はプラスチック板も考えた。ただ、重いと開けてくれないというのが今回の一番の学習。硬い板にした時点で、また同じことになる。

なので布に決めた。

代償として、ロックはできなくなる。閉め切ることを諦める判断になる。ここは割り切った。閉まらない扉より、開かない扉のほうが問題だったから。

採寸は3か所だけ

取り付け部分を測った。

項目寸法
横210 mm
縦310 mm
枠の穴約 8 mm

穴が両側にあるので、ここに棒を渡せば暖簾が掛けられる。方式は暖簾タイプで決まった。

支柱は、ダイソーの菜箸に落ち着いた

材料はダイソーで揃えることにした。

棒として検討したのは、農業用の支柱、ハンガー、そして菜箸。最終的に選んだのはこれ。

白竹&スス竹菜箸(4膳、プレーンデザイン) ダイソーオンラインショップ

菜箸にした理由は二つある。

8mmの穴にちょうどいい太さだった。そして普通の菜箸と違って、比較的丸い。使いたい20cmほどの範囲までは先細りせず、太さが変わらない。加工しやすく、それでいて頑丈そうだった。

一回目の失敗:縮む分を切り忘れた

ただし、210mmに切ってはめる、というやり方はできない。

菜箸は曲がらないので、少し長めに切って撓ませて入れる、という手も使えない。だから伸び縮みする仕組みが要る。ここが3Dプリンターの出番になる。

菜箸を芯材にして、両端に取り付け用のアダプタを差す。アダプタの分だけスライドさせて、穴に入れてから伸ばす。カーテンレールと同じ理屈だ。

まず、どのくらいで切るかを決める。

枠に菜箸を当てて、カッターで切る位置に印を付けているところ

一回目。アダプタが入るぶんの隙間だけ残して、ギリギリで切った。

アダプタが入るだけの隙間があればいい、と思ってギリギリで切った。

これが間違いだった。

縮ませて穴に入れるということは、縮む分の長さも引いておかないと入らない。 アダプタの厚みだけ考えて、ストロークを考えていなかった。

もう一度、枠に菜箸を当てて短めの位置に印を付けているところ

二回目。縮みしろを含めて、さらに短く切り直した。

幸い、被害はなかった。菜箸は4膳入りで、まだ7本残っていた。失敗のコストが実質ゼロの材料を選んでいたのは、結果的に正解だった。

FreeCADで、アダプタを4手順で作った

ここから3Dプリンターの作業。FreeCADのパラメトリックモデリングで作った。

手順1。内径7mm・厚み2mmの四角形を、20mm押し出す。 これが菜箸に被さる筒になる。

FreeCADのスケッチ編集画面。中央に寸法拘束の付いた四角形が表示されている

手順2。その上に11mmの正方形を、2mm押し出す。 枠に当たって止まるツバの部分。

FreeCADのパッド設定パネル。角柱の上面に薄い四角形が緑色で追加されている

手順3。そこに直径7.5mmの円を、10mm押し出す。 これが枠の8mmの穴に入る軸になる。

FreeCADのパッド設定パネル。ツバの上に円柱が緑色で追加されている

手順4。角をフィレットで丸める。

FreeCADのフィレット設定パネル。選択されたエッジが紫色でハイライトされている

これでv1が完成した。

完成したアダプタv1の3Dモデル。四角い筒の先に短い円柱が付いた形状

アダプタ v1。四角い筒に菜箸を差し、円柱側を枠の穴に入れる。

印刷設定と、サポートを剥がしやすくする小技

Bambu Studioにインポートして印刷する。

Bambu Studioのプレビュー画面。縦に立てたアダプタとサポート設定のパネルが表示されている

設定はこうした。

  • 積層ピッチ 0.16mm
  • サポートあり
  • 材料 PLA

ひとつ、本来のセオリーから外した判断がある。

この部品には横方向に荷重がかかる。積層方向を考えるなら、寝かせて印刷するのが正しい。立てて印刷すると、層と層のあいだで折れやすい向きに力がかかることになる。

それでも縦で印刷した。中空の部品なので、寝かせるとサポートが大量に必要になって面倒だったから。

そしてもうひとつ、サポート関連の小技。

サポートとトップ面のZ間隔を0.2mmに設定すると、サポートが剥がしやすくなる。 密着しすぎないぶん、手で捻るだけで取れる。

二回目の失敗:v1は短くて垂れた

印刷したv1を、菜箸に差してスライドさせ、穴に入れて伸ばす。

一応、棒を支えることはできた。仕組み自体は成立している。

取り付けたv1。枠の上部に菜箸が渡されているが、わずかに垂れ下がっている

v1を装着したところ。支えてはいるが、少し垂れている。

ただ、菜箸に被さる部分が20mmしかなく、心もとない。実際、わずかに垂れ下がっていた。

v1は失敗。

v2は、筒を倍にして内径を0.1mm絞った

修正は2か所だけ。パラメトリックで作ってあるので、数値を書き換えるだけで済む。

項目v1v2
菜箸に被さる筒の長さ20 mm40 mm
筒の内径7.0 mm6.9 mm

内径を絞ったのは、7.0mmだとガバガバだったから。

アダプタv2の3Dモデル。v1より筒の部分が明らかに長い

アダプタ v2。筒を倍の40mmに伸ばした。

なお、完成してから思うに、内径は6.8mmでもいけた気がしている。0.1mm刻みで詰めるなら、そこまで行けたはず。

同じ設定で印刷して、装着。

取り付けたv2。枠の上部にまっすぐ菜箸が渡され、布が掛かっている

v2を装着。垂れなくなった。位置を決めたらマスキングテープで固定している。

今度は垂れない。スライドさせて位置を決めたら、マスキングテープで止めて支柱は完成。

アダプタのデータを置いておく

同じところで困っている人がいるかもしれないので、v2のデータを置いておく。

寸法は内径6.9mm、軸7.5mm。ダイソーの菜箸と、枠の8mmの穴に合わせてある。手持ちの棒や枠のサイズが違う場合は、この2か所を変えれば足りる。FreeCADファイルのほうはパラメトリックで作ってあるので、数値を書き換えて再生成するだけでいい。

ライセンスはCC BY 4.0。改変も再配布も自由。出典としてこのページのURLを書いてもらえれば足りる。

三回目の失敗:枕カバーは、折ると分厚すぎた

次は暖簾本体。ここで前提をひとつ。

私は裁縫ができない。

なので条件はこうなった。切らずに、折りたたんで裾上げテープで固定するだけで完成すること。

この条件で探して、ちょうど二回折ると枠のサイズになる枕カバーを見つけた。

枕カバー(吸汗速乾、無地) ダイソーオンラインショップ

買って試して、二つの問題にぶつかった。

二回も折りたたむと分厚すぎる。布にした理由が「軽くしたい」だったのに、これでは本末転倒だ。

そして折りたたんでも、支柱に通すには穴を開けないといけない。輪っかにする方法を考えていなかった。

穴を開けるとどうなるか。ほつれる。ほつれた糸を猫が食べる。

ここで計画変更。

ランチョンマットも、1cm足りなかった

もう一度ダイソーに行って、ランチョンマットを見つけた。しかも柄が猫だった。

ランチョンマット(キャット柄) ダイソーオンラインショップ

サイズは400 × 300mm。400mmの辺を一回折れば200mmになるので、210mmの開口にちょうどいいと思った。

思っただけだった。

枠に猫柄のランチョンマットを当てているところ。幅がわずかに足りていない

折って当ててみたところ。わずかに幅が足りない。

200mmと210mm。差は10mm。そして、この10mmが思っていたより大きかった。

折って使う作戦はここで終わった。切るしかない。

裁縫ができないので、全部裾上げテープで解決した

切ると、当然ほつれる。ほつれた糸は猫が食べる。ここは絶対に潰す必要がある。

やったことはこう。

開口に当てながらのりしろ分余裕をもって印を付けて、横を切る。そしてほつれるのが怖いので、切った端ギリギリまで裾上げテープを貼って止めた。

アイロン台の上で、切った布の端に黒い裾上げテープを貼っているところ

切った端に裾上げテープ。裁縫の代わり。

上側は、菜箸が通るように折って、裾上げテープで留める。これが輪っかになる。ここでは切ることをやめて折るだけにした。

折り返して輪っかにした上端の内側。裾上げテープで補強されている

輪っか部分は、追加で裾上げテープを重ねて補強した。

輪っかは布の全体重を受けるので、ここだけ追加でテープを重ねて補強した。

縫った箇所はゼロ。

完成した

壁に取り付けられた完成品。白い枠に猫柄の布が掛かっている

完成。表から見たところ。

表から見れば、結構いい感じにできた。

枠が白いので、猫柄の布との相性も悪くない。少なくとも、爪とぎになっていた頃よりは見られるものになった。

裏は見栄えが悪い。でも監督は通った

正直に書くと、裏側の見栄えは良くない。

裾上げテープの黒が出るし、切った端の処理も雑。

裏側から見たところ。黒い裾上げテープが見えている布をくぐって、猫が出てきている

裏から見たところ。見栄えは悪いが、監督は通る。

それでも、ビビンバは通った。

1年ぶんの「開かない扉」が、これで終わった。重くないし、音もしない。挟まる機構そのものがない。

気に入ってそうなので、良しとします。

まとめ:失敗は三回、被害はほぼゼロ

今回やったことを並べるとこうなる。

  1. 菜箸を短く切りすぎた(縮みしろを忘れていた)
  2. アダプタv1の筒が短くて垂れた(20mm → 40mm)
  3. 枕カバーが分厚すぎ、穴を開けるとほつれた(素材ごと変更)

三回失敗しているが、捨てたのは菜箸1本とPLA少々と枕カバー1枚だけ。

これは運が良かったのではなく、最初に安い材料を選んだ結果だ。ダイソーで揃えたのは節約のためだったが、実際に効いたのは失敗できる回数のほうだった。

支柱はマスキングテープで留めたままだが、いまのところ落ちる気配はない。ロック機構は、気が向いたら付け足すことにする。