逆張りで避けていたClaudeに、猫の毛色でサイトを作れと言われた
GPTにまとめさせた引き継ぎ文をClaudeに渡してから、サイト名とコンセプトが決まるまでの記録。名前も配色も猫から出てきたが、背骨になった一文だけは自分の中から出てきた。
サイトの名前も配色も、猫から出てきた
BIBIMBA WORKS という名前も、サイトの色も、元をたどると全部うちの猫から出ている。そして言い出したのは自分ではなく、Claudeだった。
ただ、このサイトの背骨になっている一行——「すぐに正解らしいものが手に入る時代に、起きた失敗と成功の経験を共有したい」——だけは、AIから出てきたものではない。話しているうちに、自分の中から出てきた。
前回の続きになる。GPTにまとめさせた引き継ぎ文を、初対面のClaudeに投げたところから。
そもそも、Claudeは避けていた
理由は二つあって、どちらもあまり立派ではない。
一つは、逆張りしたい気持ち。巷ではみんなGPTではなくClaudeを使っている、という空気があって、そうなると使いたくなくなる自分がいる。
もう一つは実害のほう。以前無料で使っていたとき、回答はとても良いのにチャットが一瞬で途切れるのが嫌だった。トークン制で、話が乗ってきたところで終わる。それで離れていた。
(後に自分のWebアプリのUI改善で有料版に課金したら、チャット制限は気にならなくなった。それでもGPTに戻っていたのは、GPTと会話しすぎて「私のことを一番知っているのはGPTだ」と思い込んでいたフシがあると思う。)
そんな状態だったので、今回Claudeを使う動機も大したものではない。Xで「デザインセンスが良いらしい」と見かけた。別のAIの意見も聞いてみたい。あと、単に使ってみたかった。それくらいである。
渡したのは、GPTが書いた「私の説明書」
投げたのは、最初の記事の最後にGPTに作らせた引き継ぎ文。中身はだいたいこういうものだった。
- 趣味・猫との生活・ものづくり・AI活用の記録をまとめた個人サイトを作りたい
- ただし最初から「稼ぐブログ」「広告だらけのサイト」にはしたくない
- 扱いたいテーマは、3Dプリンター/猫/AIとの対話/自作Webアプリ/家づくり/ギター/業務改善
- 自作アプリはGitHub Pagesに置いたままにして、新しいサイトからリンクで飛ばす(サイトは母艦・入口)
- 雰囲気は、温かくて少し遊び心があって、作業部屋・秘密基地・生活実験室のような感じ
- デザインは「見た目」ではなく目的と魅力を社会に接続する情報設計だと思っている。意味のない装飾でごまかしたくない
- 悩みは、テーマが多すぎてコンセプトが散らかりそうなこと
- 会社の話は書きたいが、会社名・取引先名・実データ・画面は出せない
※副業の動機として金銭事情に触れた部分は伏せてある。それ以外は当時のまま要約した。
そのうえで「コンセプト案/サイト名/デザインの方向性/トップページ構成/カテゴリー設計/最初のページ/最初の記事/収益導線/リスク/運営方針」の10項目を出してくれ、と頼んでいる。我ながら注文が多い。
最初の返しが、猫の毛色だった
返ってきた最初のほうに、これがあった。
ビビンバちゃん、いい名前ですね。キジトラで1歳のさみしがりや——これはもうサイトの世界観の中核戦力です。「作業中、常に膝か作業台の上にいる監督」というキャラ設定がほぼ現実のまま成立しますし、キジトラの茶×黒×焦げ茶の毛色は、そのままデザインのカラーパレットに使えます。
飼い猫の色でWEBサイトを作ってみたら? ——とても洒落ている。
きっとGPTでは出てこない。少なくとも当時のやり取りの流れでは出てこなかった。猫を「載せるコンテンツ」ではなく「デザインの素材」として扱う発想が、そもそも自分になかった。
名前が出た
続けて、サイト名の候補が並んだ。
BIBIMBAP WORKS:猫の名前×工房。「何を作ってる会社?」と一瞬思わせる違和感が引きになります。ロゴはキジトラの線画+社名風タイポで、架空の町工場感が出せます ビビンバ監修:全記事の最後に「監修:ビビンバ(監修してない)」と入れられる。ふざけてるようで世界観が強い びびんばと試作:柔らかめ。ひらがなの脱力感と「試作」の硬さの落差で覚えられます
とてもいい感じ……なのだが、一つだけ違った。
BIBIMBAP は食べ物のほうである。 うちのビビンバは BIBIMBA だよ、と伝えて、BIBIMBA WORKS になった。
「架空の町工場感」という説明のしかたが、たぶん決め手だった。個人ブログでも企業サイトでもない置き場所が、名前だけで示せている。そこにPを一文字返上して、今のサイト名になっている。
コンセプトの一行と、自分から出てきた一行
そしてClaudeから出てきたコンセプト案が、これだった。
暮らしや仕事を、自分の手で少しずつ良くしていく試行錯誤
これはこれで、散らかっていたテーマ(猫・3Dプリンター・AI・家・業務改善)を一本に束ねる線になっている。
ただ、このサイトの所信表明として最終的に残ったのは、こちらではない。ここまでいろいろAIと語ってきた流れの中で、自分の中から出てきた一行のほうだった。
AIが普及して、すぐに正解らしいものが手に入る時代に、起きた失敗と成功への経験を共有したい。
名前も配色もAIから出てきたのに、背骨だけは自分から出た。というと出来すぎに聞こえるが、順番としては逆だと思う。AIが線を引いてくれたから、その線に対して「いや、そこじゃない」と言えたのであって、白紙から出てきたわけではない。
このあたりの感覚は最初の記事に書いた話と同じで、考える作業のうち言語化の部分だけをAIが肩代わりしている。決めているのはこちらだが、決めた形跡が手元に残らない。
「AIが作れないもの」の話
もうひとつ、この日の会話で新鮮だったのがこれ。
自分から、GPTのSites機能が実装されればきっとみんな個人サイトを持つようになるから他との差別化は大事だね、あと今後みんなGoogle検索を使わなくなるだろうから、いかにAIが参照してソースとして提示してくれるかも大事だね、という話を振った。返ってきたのがこれ。
返ってきた話の骨は、こうだった。サイトを「作ること」自体の価値は、これからゼロに近づく。AIで一瞬で作れる綺麗なサイトが無限に増えるからで、だとすると差別化の源泉は逆側、AIが生成できないものに寄る。
その「生成できないもの」として挙げられたのが、これだった。
具体的には、実在する猫と実在する失敗です。
ビビンバの写真、3Dプリントの反りや割れの実物、ノギスで測った実測値、住んでみて初めて分かった不便。これらは一次情報なので生成では代替できない、という理屈である。綺麗な完成品紹介サイトは今後コモディティ化するが、試行錯誤の生ログは希少なまま、とも言われた。
最初の記事でGPTから出ていた「失敗ログを残せ」という助言が、ここで「続けるコツ」から「AI時代の差別化戦略」に読み替えられた。同じ結論に別の理屈がつく。この読み替えが、GPTとは違う返し方だと感じたところだった。
なお、この「これから検索がAI経由になるから一次情報が効く」という話は、当時そう話した/そう返ってきた、という記録である。1か月経った今もまだ答え合わせはできていない。できたらまた書く。
モックからClaude Codeへ。指示一行で骨格ができた
基本方針が決まったあとは早かった。
サクッとモックを作らせ、そのままClaude Codeに引き継ぐための指示文(bibimba_works_build_spec.md)まで書かせて、さあClaude Codeとの対面だ、となった。
ところがこの子は、せっかちなのか優秀なのか、
bibimba_works_build_spec.mdの指示に従って、サイトの骨格を作って
これだけでサイトを作ってしまった。
こちらは一行ずつ指示を出していくつもりで身構えていたので、拍子抜けした。ただし、この「勝手にどんどん進む」性質は後々こちらの理解が追いつかない原因にもなる。後の記事で書いたGitの話はここから始まっている。
この日決まったこと
- サイト名:BIBIMBA WORKS
- 配色:うちの猫の毛色(茶×黒×焦げ茶)
- 背骨:すぐに正解らしいものが手に入る時代に、失敗と成功の経験を共有する
- 差別化の方針:AIが生成できない一次情報(実物・実測値・失敗)を載せる
逆張りで避けていたAIに、名前と色を決められた日である。悔しくはない。ただ、避けていた理由がトークン制限と逆張りだけだったのは、記録としてちょっと格好がつかない。
このあとGPTに内容を確認しに戻り、AI対AIのラリーに挟まれることになる。次はその話。