やる気が出ないとAIに泣きついたら、8本書き終わっていた

記事工場を作ったのに手が止まった。相談したら「今日は何も書かなくていい」と言われ続け、気づいたらサイト立ち上げの記録が全部書き上がっていた記録。シリーズ最終回。

9本書いた話を、10本目に書く

このシリーズの1本目から9本目までは、全部この数日で書かれている。

そしてその直前まで、記事を1本も書けていなかった。 記事工場まで作っておいて、である。

この記事は、その間に何があったかの記録になる。書いている途中の相談まで含めて全部残っているので、そのまま出す。

発端は、課金がもったいないという話だった

最初にAIに投げたのは、記事の話ですらなかった。

せっかく有料版で課金してるけど、平日仕事している間や、返ってきてパソコンに向かう時間がない時にトークンを使えずにもったいない感じがしてる。何か無駄にしない良い方法ないかな?

我ながら、身も蓋もない入り口である。

答えとしては、使わなかった分が繰り越されるわけではないので損はしていない、という話だった。そのうえで移動中に音声で仕込む、外出前にタスクを投げる、といった使い方を教わった。

ただ、この相談をしている時点で、本当の問題は別にあった。次にこう書いている。

何か記事を書くべきなんだろうけど、まだ完成もしてないのにやる気が出なくなっちゃった

そこから、何度も掘られた

ここから、記事の書き方ではなくなぜ書けないのかの話になった。自分では気づいていなかった理屈が、順番に出てきた。

まず出したのは、こういう言い分だった。

記事にできるかもっていう動きが思いついても、まだWEBサイトも完成してないから、今は始めないで、しっかりサイトができてから、メモしながら次の作業したいなとか思っちゃってます。

さらに、ボートの記事について。

これが止まっている理由って、記事にするなら、まずは3Dプリンターをなぜ買ったのか、なぜジャングルクルーズのボートを作ろうと思ったのか、テスト制作の過程は?、そこでのつまづきは?を書いた後に、今の組み立て工程だから、先にそこまでの記事書かなきゃなーって思ってしまってるんだよね。

前提から順番に埋めないと本編に入れない。 これが最初に出た診断だった。

ところがこれは誤診だった。次にこう答えている。

でもアプリづくりもWEB制作だって飛び込みでやってるけどね、ある程度完成するとこまではやって燃え尽きてるけど

飛び込みでは、やれている。着手はできる。壁があるのは入り口ではなく出口のほうだった。

過去の在庫を棚卸しした

そこから、過去に最後までやり切ったものと、途中で止まったものを比べることになった。

完走した例。 LEGOのMOCで、ホーンテッドマンションを作った。Rebrickableでデータを買い、Bricklinkで海外からパーツを集め、実家からも集め、LEGOストアのPABでも集めた。予算が足りないのでLEGO Studioを覚えてデータを改造し、中身をくり抜いた。Bricklinkのwishlist機能を覚え、海外業者とすったもんだしながらパーツを揃えた。3日かけて妻と組み上げた。構想から半年。

止まった例。 その次に取りかかったBack to the Futureの時計台のMOCは、データを買って改造して、パーツ集めの途中で予算もやる気も尽きた。今もペンディング中である。

ここで一つ、自分でも驚いたことがある。時計台のことを、この会話の途中まで忘れていた。

完成したものは半年かけた大仕事として語れるのに、止まったものは存在ごと記憶から消えていた。試作室の棚には、思い出せない時計台が何個も眠っている。

止まり方には種類があった

最初は「欲の温度が高ければ完走できる」という結論になりかけた。ホーンテッドマンションは何年も焦がれていた。時計台は、その勢いで入っただけだった、と。

ところが、これも合わなかった。ジャングルクルーズのボートは、欲の温度が高い。 何ヶ月もかけて、別チャットで助けを求めながらFreeCADを覚えて、テスト印刷までこぎ着けている。それでも塗装で止まっている。

自分の言葉で書くと、こうだった。

テスト印刷で形になるまでが本当に長かった。FreeCADの操作を学びながら、あーでもないこーでもないやりながら、GPTと一緒に何ヶ月もやってやっと形になったから、そこで燃え尽きたんだろうね。形になったものも別に塗装しなくてもクオリティ高かったし、乗り越えたハードルの数が多すぎた。

つまり、止まり方は少なくとも2種類ある。

止まった理由
時計台欲が薄かった。 前作の勢いで入った
ボート欲はあるのに、心の体力が先に尽きた。 越えたハードルが多すぎた。しかもテスト印刷の時点で完成品が高クオリティだったので、報酬だけ先に着地した

ホーンテッドマンションが完走できたのは、地味な作業の中身が「調達と段取り」であって、未知の技術との格闘ではなかったからだと思う。パーツ集めは大変だが、心は削られない。

いちばん効いた指摘

このやり取りの中で、いちばん効いたのはこれだった。

自分はボートについて、こう言っていた。

記事とか書けるなら今触らないほうがネタになるしもったいないよなっていう意識もあるんだろうね

これに対する返しが、はっきりしていた。それは完成しない完璧な言い訳である、と。

サボっているなら罪悪感でいつか動く。でも「ネタのためにあえて寝かせている」は、止まっていることが生産的な戦略に化ける。永遠に触らなくていい大義名分になる。

そして順番も逆だった。記事はボートが完成したから書けるのではなく、完成させられないから書けない、が実態だった。

ここは、言われるまで自分では気づけなかった。

本当のボトルネックは、たぶん別にあった

もう一つ、自分で書いていて出てきたのがこれである。

会社でもAIの使い方を知ってる方ってことになってきたから、AIについて勉強しなきゃってことでアプリ作ったりWEB作ってみたりとかしてたら趣味要素強めな楽しいことより完成間際のしんどいWEB作りがモチベを邪魔してるってわけ

有限な「完成させる体力」を、義務側が先に食っている。楽しいはずの趣味が、仕事由来のプロジェクトに気力を人質に取られている状態だった。

ただし、ここは一度整理を訂正している。「純粋な趣味に、後から仕事が混入した」という話ではなかった。最初の記事に書いたとおり、お金の話は初日から入っている。 動機は最初から地続きで、そこは今も本心である。

そのうえで噛み合っていなかったのは、こういうことだった。お金にするのが目的なら、完成した空っぽのサイトは一円も生まない。 稼ぐのは中身のほうで、中身は趣味からしか出てこない。だから収益の観点で見ても、燃料は趣味側で、WEB制作は器だった。

そして最初の記事で確認したとおり、当初のロードマップは「記事の貯金が先、サイト構築は後」だった。自分で合意した順番が、ひっくり返っていた。

そして、何も書かなくていいと言われ続けた

このやり取りの間、毎回言われていたことがある。

今日は何も書かなくていい。

ネタを一行放り込んだ日も、過去の在庫を棚卸しした日も、毎回そう言われた。ゲームを勧められた日もある。気分転換に何かないか聞いたら、「終わらないプロジェクト化しない」ものを選んで出してきた。始めたら勝手に終わるやつを。

自分としては、そこにも引っかかりがあった。

でも、ここでまた進まないことにも、なんとなくブレーキをかける要因にもなるのがまた難しいところ

休んでいいと言われると、休むこと自体が「また止まった」に見えてくる。

返ってきたのは、「今日は動かなくていい」と「このプロジェクトを寝かせる」は別の話だ、というものだった。前者は一日の話で、後者は数ヶ月の話。一日単位の休みに「また止まった」の判定を出すと、休みが存在できなくなる。

そのうえで、罠との違いも指摘された。「ネタになるから寝かせる」が罠だったのは、止まっていることを生産的だと錯覚させたからである。今は止まっていることを止まっていると認識できている。錯覚していないなら、罠にははまっていない。

書き始めた

そのあと、こう打っている。

今日は記事を書くよ

続けて、こうも書いている。

いや、やらなければいつまでも進まない。やる。

……そして翌日、サイトのSVGを更新するのに一日を使った(SVGアイコンを作った話)。

笑い話のようだが、ここが分岐点だった。作ったものを、その日のうちに記事にした。 これまでは作った後に「まだ前提が足りない」で止まっていたので、作る→書くが直結したのは、たぶんこれが初めてだった。

何をしたら書けたのか

やったことを並べると、こうなる。

  1. 整えずに吐き出した。 箇条書きでも話し言葉でも時系列バラバラでもいい状態で、丸ごと投げた
  2. 編集はAIに任せた。 構成と見出しはあちらが組む
  3. 固有名と手順は自分で確認して直した。 Inkscapeのメニュー名、色数、保存形式
  4. 8本と決めた。 経緯をまとめてから公開したい、という自分の癖を否定せず、代わりに上限を数字で決めた
  5. 目次を先に作った。 空でいいから8個の箱を並べた。無限に広がる「経緯をまとめる」が、埋めるべき箱になった
  6. 1本1チャットにした。 前の記事の文脈が混ざらないように

このうち一番効いたのは、たぶん1と5である。整える前に渡すこと。そして範囲を閉じること。

なぜ書けなかったのか

上に書いたのは全部外から見た理屈で、AIとのやり取りの中で出てきた診断である。当たっている感じはする。ただ、「やる気が出ない」と打ったあの日に自分がどういう感じだったかは、もう少し身も蓋もなかった。

いろいろとAIを触ってきて、WEBサイトもアプリもある程度形になった。いざ公開、となったところで、セキュリティやら記事やら、考えないといけないことが一斉に思い浮かんだ。 どれも楽しくないほうの作業である。

それともう一つ、これはあまり書きたくないことだが。そもそもこんな私の記事もアプリも求められてないだろう、という理解も、若干あった気がする。

作っている間は楽しい。楽しいのだが、公開の手前まで来ると、その先に待っているのが「面倒な作業」と「たぶん誰も見ない」の二つになる。そりゃ手も止まる。

そんで、なんとなくAIにどうしたらいいか聞いてみた、という流れだった。

AIに人生相談しちゃってるのが、AI時代で怖いけどね。

シリーズを通して出てきた言葉

書き終えてから並べてみて、気づいたことがある。意図せず何度も出てくる言葉があった。

信じる、である。

理解しないまま信じて進む。それがこのシリーズの通奏低音だった。そして今回、記事の書き方についても同じことをしている。書けない理由の分析も9本という数字も、書く順番も、全部AIに言われたことを信じてやった。

違うのは一点だけで、素材は自分から出たということである。ボートも、時計台も、8色と16色も、OneDriveの勘違いも、AIには作れない。サイトのコンセプトを決めた記事で言われた「実在する猫と実在する失敗」というのは、たぶんこういうことだった。

まとめ:完成させられない話を、完成させた

このシリーズは、完成させられない人間の話である。

塗装で止まったボート。ペンディング中の時計台。使わなくなった記事工場。90点の没記事。忘れていた在庫。

その話が、9本ぶん完成した。

正直に書いておくと、これで治ったとは思っていない。次にまた止まる日は来ると思うし、そのときはたぶん同じ形で止まる。8割まで来て、達成感が先に着地して、残り2割で燃料が切れる。

ただ、一度は最後まで行ったという実例が手元にできた。次に迷ったとき、参照できるものがある。

そしてボートは、まだ机の上にある。再印刷して接着して、パテを盛って、ヤスリをかけたところで止まっている。サフはまだ吹いていない。

そっちは、まだ完成していない。そのうち書く。